がんは死なない細胞である。
本来、細胞にはあまり増えすぎないようにするために、細胞が死ぬようプログラムされている(アポトーシス)。 がんは、そのアポトーシスの機能が壊れて、異常に増え続ける細胞である。
また、液体がものにしみこんでいく様に、癌の細胞が正常な細胞の間にしみ込んで増えたり(浸潤)、血の流れやリンパ液の流れにのって離れた組織や器官に移動し、そこでまた増えたりする(転移)。癌は硬いので、大きくなると正常の細胞・臓器を圧迫し、その臓器の機能を破壊する。
がんは異常に増え、体の栄養をどんどん使い疲れやすい状態にしたり(易疲労)、内分泌系に癌ができるば、ホルモンなどが異常に分泌されてしまったりする。全身に転移すると、様々な臓器を壊し、栄養を使い、ついには生命の維持は不可能となり、死に至る。
正常の細胞であれば、組織や器官から切り離されれば死滅するが、癌細胞は、組織・器官から切り離されて、たとえ宙ぶらりんでも平気で増殖する(足場非依存性)(とはいえ、栄養が尽きれば死ぬだろうが)。また、がん細胞が腹膜へこぼれ落ちたとき、そこにある少量の腹水という水のなかを浮遊して、まるで種を播いたかのように増えることもある(腹膜播種)。そもそも転移もこの、組織・器官から切り離されても死なないという能力なくしては不可能な事である。 また浸潤するというのも最大の特徴の一つである。なぜなら、転移というものは癌が正常細胞に入り込み、正常細胞の奥にある血管・リンパ管に達した結果そうなるからである。 ちなみに、癌は酵素を使って正常細胞の中に潜り込むのである。
以上をより簡潔に表すと次のようになる。
◇癌は異常に増殖する。
そのため臓器を圧迫し機能を壊したり、栄養を異常に使い疲れやすい状態にする。
◇癌は浸潤する。
その結果、正常細胞の奥にある血管・リンパ管に達して他の臓器に転移する。
◇癌は組織・器官から切り離されても死なない。(栄養が尽きれば死ぬが)
だから、転移もできるし腹膜へ播種もできるのである。
◇捕足◇
癌細胞は分化しない。
分化とは細胞が筋肉や臓器といった、ある機能を持ったものに変わることだ。癌はただ異常に、急速に発育していく存在にすぎない。
そして癌細胞の核、すなわち遺伝子や核小体などは異常に増殖してしまい、形は膨れあがってしまう。