認知症は何らかの病気によって脳の神経が壊れてしまい起こる症状である。
その、何らかの病気とはどういう病気なのか?
それは、脳の血管の障害、アルツハイマー病、正常圧水頭症、ビタミンなどの代謝障害や栄養障害【栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂など)のバランスの崩れ】、甲状腺機能低下などがある。
アルツハイマー病は不可逆に進む脳の病気である。不可逆とは、反応に対して逆の反応が起きない、つまり戻らないということである。そして、記憶や考える力がゆっくりと落ちていき、最後には日常生活の最も単純なことを行う力さえも失われる病気である。
正常圧水頭症は、髄液(頭の中の骨の中に常にめぐっている色がなくて透明な液体)の吸収の障害が生じてしまう病気である。吸収に障害があるため、髄液はたまってしまうが、髄液のめぐりは妨げられないため、さほど頭の骨の中の圧力が上がらない状態である。
甲状腺機能低下とは、食べ物に含まれるヨウ素(ミネラルの一種)を材料にして甲状腺ホルモン(主に代謝をうながすホルモン)を作りだす力がおちてしまう状態である。
ところで代謝とは、生き物の体がエネルギーおよび物質を外から取り込み、からだの内部で化学的に変化させ、いらないものを外に放つ反応の総称(まとめて呼ぶこと)である。
生き物の体がエネルギーおよび物質を外から取り込むことを同化という。
同化とは?
→低分子化合物(分子量の小さい化合物)から高分子化合物(分子量の質量が大きい分子)を合成する反応である
分子量とは、分子を組み立てる元素の原子量の全て足した和である
原子量とは、原子1mol(6.0×10の23乗個)の質量(物体の動かしにくさの程度を表す量)
元素とは、物質を化学的に分けていって最後に得られる要素である。
異化とは分子を小さな組み立ての部分に分解してエネルギーを取り出すことである。
上記の認知症になりえる病気により生活にさしつかえをきたすような
認知機能障害【何であるかを判断したり読みとったりする機能が損なわれている状態】
があらわれた場合に
認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】と
診断【患者を診てどんな病気か判断すること】される。
以下は原因になってる病気による認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】のおおよその分類
〇血管性認知症【脳の血管の障害でおきる病気による認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)】
〇多発梗塞性認知症広範虚血型【ラクナ梗塞が両側半球(右半球(右脳)と左半球(左脳))に少しずつ多く発生したものによる認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)で、広い範囲の血液が十分でない状態】
ラクナ梗塞(脳の奥の細い血管がつまるタイプの脳梗塞(脳の血管がつまって脳の細胞が死んでしまう))
〇多発脳梗塞型【ラクナ梗塞が両側半球(右半球(右脳)と左半球(左脳))に少しずつ多く発生したもの】
ラクナ梗塞(脳の奥の細い血管がつまるタイプの脳梗塞(脳の血管がつまって脳の細胞が死んでしまう))
〇限局性脳梗塞型【限局(せまく限る)で起こる脳梗塞(脳の血管がつまって脳の細胞が死んでしまう)】
〇遺伝性血管性認知症【遺伝が原因で脳の血管に障害が起きて認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)になる】
変性性認知症【アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など】
アルツハイマー型認知症(脳の一部が小さくなる過程でおきる認知症)
レビー小体型認知症(脳に「レビー小体」というたんぱく質のかたまりができて認知症となる)
アルツハイマー型認知症は、短期記憶障害【数分から数時間の記憶の障害】をはじめとする認知機能障害【何であるかを判断したり読みとったりする機能が損なわれている状態】により日常生活や社会での生活にさしつかえをきたし、緩徐【ゆっくりと病気が進む】と、局所神経症候を伴わない事が病気のぐあいの基本となる。
局所神経症候【限られたところの神経系が障害されたときの症候(患者の示す様々な訴えとその症状が呈する診察所見(患者を診た結果))】
神経系(主に神経の細胞のつながりによって作られる、外の情報を伝えて処理を行う)
(びまん性)レビー小体型認知症【脳に「レビー小体」というたんぱく質のかたまりができて認知症となる】は、幻視【まぼろしが見える】・認知機能【何であるかを判断する機能】の急な変化などが特徴的な認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】。
パーキンソン病【脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる病気】で見られるレビー小体【神経の細胞に出来る特殊なたんぱく質】が脳の中に認められ、パーキンソン病【脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる病気】の症状も見られる。
認知症を合併したパーキンソン病【脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる病気】との境界はあいまいである。
パーキンソン病【脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる病気】は、高い率で認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】と合併する。
27の研究のメタアナリシス【複数の研究の結果をまとめて、より高い見地から分析する】によると、パーキンソン病【脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる病気】の約40%に認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】が合併していた。
約30%というメタ解析データ【メタ解析(複数の研究の結果をまとめ、より高い見地からの分析)のデータ】もあり、その研究では全ての認知症の症例(病気けがなどの例)の3.6%がパーキンソン病【脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる病気】であった。
パーキンソン病患者は、認知症になる危険は、健常者【心身に病気や障害のない者】の約5-6倍と見積(おおよその計算)されており、パーキンソン病患者を8年間その後を追って調べた研究では、78%が認知症になった。
前頭側頭型認知症【前頭葉(人格・社会性・言語)や側頭葉前方(記憶・聴覚・言語)の委縮(小さくなる)がみられ、それに伴った症状を示す】
かつてピック病【前頭側頭型認知症の一つで約8割はピック病といわれている】
前頭側頭型認知症{前頭葉(人格・社会性・言語)や側頭葉前方(記憶・聴覚・言語)の委縮(小さくなる)がみられ、それに伴った症状を示す}
かつてピック病と呼ばれていた若年性【65歳未満】で初期から性格の変化をきたす認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】は現在はFTDと呼ばれている。
また広い意味の概念【物事の「何たるか」という部分】として
前頭側頭葉変性症FTLD:Frontotemporal Lobar Degenerationがあり、
前頭側頭葉変性症【前頭葉(人格・社会性・言語)側頭葉(記憶・聴覚・言語)の神経の細胞の変性(性質などが変わること)する病】
意味性認知症【前頭側頭葉変性症{前頭葉(人格・社会性・言語)側頭葉(記憶・聴覚・言語)の神経の細胞の変性(性質などが変わること)する病}の中の1つで、言葉や物の意味がわからなくなる】 Semantic Dementia (SD)や
進行性非流暢性失語【言葉はだいたいわかるが、しゃべりづらくなる症状が進む】 (Progressive nonfluent aphasia、PNFA)
(特発性進行性失語【特発性(原因がわからない)症状が進む失語(会話や文字でものごとを表現したり、理解したりする能力が部分的または完全に失われている)】 Primary progressive aphasia (PPA) と近い関係にある)、
進行性核上性麻痺【脳の中の大脳基底核 、脳幹(生命のそのままに必要なはたらきを調整する)、小脳(主に運動のほど良く整えるをする)といった部位の神経の細胞が減少し、転びやすくなったり、下がみづらく、しゃべりにくい、飲み込みにくくなったりする】 なども含まれる。
大脳基底核【大脳皮質{大脳の表面に広がる、神経の細胞の灰白質の薄い層}と視床、脳幹(生命に必要なはたらきを調整する)を結びつけている神経核の集まり】
灰白質(神経の細胞の細胞体があつまってるところ)
ハンチントン病とは【大脳基底核の線条体の神経の細胞が徐々に失われる病】
→大脳基底核(大脳皮質と視床、脳幹(生命に必要なはたらきを調整する)を結びつけている神経核の集まり)
→→大脳皮質{大脳の表面に広がる、神経の細胞の灰白質(神経の細胞の細胞体があつまってるところ)の薄い層}
→→視床【脳のほぼ真ん中にあり、においの感覚以外のあらゆる感覚の情報を大脳皮質に送る】
→→→感覚の情報【体性感覚{皮膚、深部(筋肉や腱などにある感覚)、内臓の感覚}、痛みの感覚、視る感覚、音を感じる感覚、味覚など】
→大脳皮質{大脳の表面に広がる、神経の細胞の灰白質(神経の細胞の細胞体があつまってるところ)の薄い層)}
クロイツフェルトヤコブ病とは、感染因子(ウイルスなどが入り込む原因の要素)が核酸(細胞核の中の物)を持たない異常プリオン蛋白と考えられていて、ひろがることができる死にいたる病である。
異常プリオン蛋白とは正常なプリオン蛋白が構造の変化を起こしたものである。
正常なプリオン蛋白は特に神経細胞の表面に多く結合して保護するはたらきがある.。
HIV関連認知症
脳のHIV感染による、慢性の認知機能(何であるかを判断したり読みとったりする力)の低下
HIV感染における、感染源となるのは、精液・膣分泌液(膣を守るためにでる透明で粘りのある液)・血液・母乳などである。
感染源とは、病原体を持ち、直接に寄生生物(とりつく生き物)からとりつかれる生き物へひろがっていける媒体( 一方からもう一方へ伝えるためのなかだち )
病原体とは、病の原因となる、原生動物{単一細胞(1個の細胞だけからできている生き物)から成る下等(劣っている)の微小動物(すごく小さい動物)の総称(まとめて呼ぶ)}や細菌やウイルスなどである。
梅毒関連認知症【梅毒(性的に近づいて触れるなどによってうつる感染による病)により認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)になる】
治療が可能なもの
慢性硬膜下血腫【硬膜と脳の間にじわじわと血腫(出血によって組織の中に血液がたまってる状態)ができてる状態】
硬膜{脳と脊髄(脳から背中の骨の中を通って伸びている太い神経)を包んでいる硬い膜}
正常圧水頭症【髄液の吸収の障害が生じ、髄液がたまっているが、髄液のめぐりは妨げられず、さほど頭の骨の中の圧力が上がらない】
髄液(頭の中の骨の中に常にめぐっている色がなくて透明な液体)
甲状腺機能低下症【食べ物に含まれるヨウ素(ミネラル(五大栄養素の一つ)の一種)を材料にして甲状腺ホルモン(主に代謝をうながすホルモン)を作り、血液中に出すのが落ちてる病】
また、認知症患者【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状で治療を受ける人】のおよそ10%程度は混合型認知症【異なる病が同時に起こった認知症を指す 】(mixed dementia)であり、一般的にアルツハイマー病【不可逆(反応に対し逆の反応が起きない)に進む脳の病気で、記憶や考える力がゆっくりと落ちていき、最後には日常生活の最も単純なことを行う力さえも失われる病気】とその他の認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】(前頭側頭型や血管性型)を同時に起こしている。
前頭側頭型認知症
前頭葉(人格・社会性・言語)や側頭葉前方(記憶・聴覚・言語)の委縮がみられ、それに伴った症状を示す
血管性認知症
脳の血管の障害でおきる病気による認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)
脳の血管の障害の場合、画像診断【さまざまな機器などを用いて患者の状態を画像にしてどんな病気か判断すること】で微小病変【すごく小さい病気による変化】が見つかっているような場合でも、これらが認知症状【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】の原因になっているかどうかの判別【区別を明らかにする】は難しく、これまでは脳血管性認知症【脳の血管の障害で脳の神経の細胞が壊れておきる症状】(VaD)と診断【患者を診てどんな病気か判断すること】されてきたが、実際はむしろアルツハイマー病【不可逆(反応に対し逆の反応が起きない)に進む脳の病気で、記憶や考える力がゆっくりと落ちていき、最後には日常生活の最も単純なことを行う力さえも失われる病気】が認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】の原因となっている、いわゆる、「脳血管障害【脳の血管の障害】を伴うアルツハイマー型認知症【脳の一部が小さくなる過程でおきる認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)】(混合型認知症【異なる病が同時に起こった認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)を指す 】)」である場合が少なくない。
皮質性認知症【脳の中の皮質が障害されることによって発生する認知症による障害】と皮質下性認知症【脳の中の皮質下が障害されることによって発生する認知症による障害】という分類がなされる事もある。
血管障害性【血管の障害による】と変性性【性質の変化による】という分類もあり、Hachinskiの虚血スコアが両者の区別にある程度役にたつ
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Hachinskiの虚血スコア(以下13)
急速に起こる(2)
段階的悪化【徐々に悪くなる】(1)
動揺性【動き揺れることによる】の経過(2)
夜間せん妄(時間や場所が急にわからなくなる見当識(基本的な状況をとらえること)の障害から始まる場合が多く、注意する力や考える力が下がり様々な症状を引き起こす)(1)
人格の保持(1)
抑うつ(気分が落ち込んで何にもする気になれず様々な精神の症状や身体の症状がみられる)(1)
身体についての訴え(1)
感情失禁【わずかのことで泣いたり笑ったりして、感情のコントロールがうまくできない】(1)
血圧が高いの既往【過ぎ去ったこと】(1)
脳卒中【脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、脳が障害を受ける病】の既往【過ぎ去ったこと】(2)
動脈硬化合併【血管が硬くなって柔かさが失われている状態があわさっている】の証拠【証明のよりどころ】(1)
局所神経症状【限られたところの神経系(主に神経の細胞のつながりによって作られる、外の情報を伝えて処理を行う)が障害されたときの症状】(2)
局所神経学的特徴【限られたところの神経系(主に神経の細胞のつながりによって作られる、外の情報を伝えて処理を行う)が障害されたときの特徴】(2)】
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皮質性認知症【脳の中の皮質が障害されることによって発生する認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)による障害】と皮質下性認知症【脳の中の皮質下が障害されることによって発生する認知(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)による障害】という分類がなされる事もある。
日本ではこれまで血管性認知症【脳の血管の障害でおきる病気による認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)】が最も多いといわれていたが、最近はアルツハイマー型認知症【脳の一部が小さくなる過程でおきる認知症(脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)】が増えている。
軽度認知障害【程度が軽い何であるかを判断する能力の障害】
軽度認知障害【程度が軽い何であるかを判断する能力の障害】(Mild Cognitive Impairment:MCI)とは、正常老化過程【普通に歳をとる過程】で予想されるよりも認知機能【何であるかを判断する力】が低下【さがる】しているが、認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】とはいえない状態【状態】。
主観的【自分の意見】・客観的【他人の意見】に記憶障害【記憶が抜け落ちてしまう障害】を認めるが、一般的な認知機能【何であるかを判断する力】・日常生活能力【毎日繰り返される生活を送るための能力】はほぼ保たれる。
「認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】」の診断【患者を診てどんな病気か判断すること】ができる程度に進行するまで、通常5~10年、平均で6~7年かかる。
医療機関【医療(医者の技術によって治療すること)をさし出す施設(目的のために建物)】を受診【診察(患者を診る)を受ける】した軽度認知障害【程度が軽い、何であるかを判断する能力の障害】では、年間10%~30%が認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】に移行【移っていく】するとされる。
さらに、単に程度が軽い記憶障害【記憶が抜け落ちてしまう障害】のみの例より、他の認知障害【何であるかを判断する障害】を合わせて持つ例の方が、認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】へ進んでいく危険ははるかに高い(4年後の認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】へ移っていく率は、記憶障害【記憶が抜け落ちてしまう障害】のみの場合は24%、言語・注意・視空間認知【目から入った情報のうち、ものの位置や向きを認識(明確な把握(つかむ))する力】の障害のいずれかの合わさった例では77%であった)。
認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】における疾患修飾治療【薬で進行を遅らせる】(disease-modifying therapy)、いわゆる根治療法【根本から治す治療のしかた】を企図【くわだてる】した100以上の臨床試験【実際の現場における試験】がすべて失敗に終わり、少なくともMCIの段階からの治療をはじめるのが望ましいと考えられている。
しかし、MCIから認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】への進行を確実に食い止める治療の方法はまだ見つかっておらず、認知症治療薬【認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)を治療するための薬】の効果はないとする研究が多い。
そのため予防のための見かたから、認知機能【何であるかを判断する力】をそのままにする成分(DHA、イチョウ葉エキス、エルゴチオネインなど)を含んだ機能性表示食品の研究も活発に行われている。
イチョウ葉エキス【イチョウの青葉を乾いた状態にさせてアルコールで抜き出された成分】
アルコール(炭化水素(炭素と水素からなる有機化合物の総称)の水素の原子をヒドロキシ基(水分子H2Oから水素Hが1個離れてできたOH) で置き換えた物質の総称(まとめて呼ぶこと))
エルゴチオネイン【希少アミノ酸(少しのタンパク質をつくるもっとも小さい単位の成分)の一種で優れた抗酸化能(活性酸素によって酸化を抑える力)を有した自然物】
活性酸素(ほかの物質を酸化(対象とする物質が電子を失う化学反応のこと)させる力が非常に強い酸素)
MCIの段階では、軽い症状であるがゆえにその背景にある病気、つまりアルツハイマー病【不可逆(反応に対し逆の反応が起きない)に進む脳の病気で、記憶や考える力がゆっくりと落ちていき、最後には日常生活の最も単純なことを行う力さえも失われる病気】の前の段階なのか、血管性認知症【脳の血管の障害でおきる病気による認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)】の前の段階なのかを判定するのがしばしば困難であること
さらに2013年の報告(Brain 2013)では、80歳以上のアルツハイマー病患者【不可逆(反応に対し逆の反応が起きない)に進む脳の病気で、記憶や考える力がゆっくりと落ちていき、最後には日常生活の最も単純なことを行う力さえも失われる病気の患者(病気にかかって治療を受ける人)】の8割が何らかの脳の血管の障害を伴っていることが明らかとなり、脳の血管の障害に対するかかわりが、血管性認知症【脳の血管の障害でおきる病気による認知症(何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状)】はもちろんのこと、アルツハイマー病【不可逆(反応に対し逆の反応が起きない)に進む脳の病気で、記憶や考える力がゆっくりと落ちていき、最後には日常生活の最も単純なことを行う力さえも失われる病気】の前の段階であるMCI(MCI due to ADと呼ばれる)に対しても有効なのではないかという期待が世界中で高まっている。
日本でも、脳の血管の障害に対する治療の薬がMCIに対して有効かどうかを確かめようとする医師主導治験【治験に前もって備えて管理(良い状態にするために必要なことをすること)を医師自ら行うこと】(COMCID Study)が2015年(平成27年)5月より始まっている
治験(病気に対してのくすりの候補(選ぶ対象となるもの)を、健康な人や病気にかかって治療を受ける人に与えてききめと安全性(安全の度合い)を調べること)
国立長寿医療研究センター【国が直に運営してるじいさんばぁさんの健康の維持・増進(増し進める)と活発に動く力の向上(すぐれた方へ向かう)を目指す研究(物事を深く考えたり、詳しく調べたりして、真理(確実なよりどころによって本当であると認められたこと)、理論(ある物事に関して、筋道を立てて考えたもの)、事実(実際にあった事)などを明らかにすること)をしている施設(目的のために建物)】の研究班【研究する班】がまとめた発表によると、認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】の前段階【前の段階】と言われるMCIの高齢者【じいさんばぁさん】を4年間追跡調査【年間でその後を追って調べること】してみたところ、14%が認知症【何かの病気によって脳の神経の細胞が壊れて起こる症状】になったものの、46%は正常に戻った。