肺気腫 症状

 肺気腫は肺や気管支の慢性的な炎症が原因で、肺の機能が不可逆(戻らない)に低下してしまっています。

 肺の機能は呼吸ですので、当然呼吸に影響が出ます(息切れ)。肺気腫のように肺胞の壁が破壊されその弾力を失ってしまうと、気管支は肺胞の弾力で引っ張られ拡がっていられるのものなので、だらんとして狭くなってしまいます。拡がっている側から空気が送り込まれれば、狭くなっている部分は拡がって空気が通れますが、狭くなっている側からいくら空気を送ろうとしても、狭くなっているので空気をうまく送り込めません。よって、空気を吸うことは出来るのですが、空気を吐くことが困難になってしまいます(呼気性呼吸困難)

 痰は、悪い菌などを外に出そうとして出るものであり、特に色が黄色→緑黄色と濃くなるにつれ、その状態であることを示しています。肺気腫でも悪い菌などがなければ、痰の色は無色透明なようです。(ただし、症状の悪化に伴い濃い痰が出るようになってしまいます)

 肺の機能が低下しているわけですから、当然運動すれば息切れが起こります。肺が上述の状態ですので、呼吸するとゼーゼーヒューヒューという音(喘鳴)がすることもあります。呼吸が上手くいかなければ、ドキドキ(動悸)もするでしょう。循環に影響もあると浮腫みなどが見られることもあります。

 症状が進行すれば、呼吸の時に音が聞こえることがありますこれは、ラ音(異常があると聴こえる呼吸時の雑音)、鼓音(太鼓様の音)、過共鳴音(共鳴したことによる音)といったものです。

 また、酸素がうまく身体に送れてないと酸素不足(チアノーゼ)となり、症状が酷いと指先に血液が溜まり(うっ血)太鼓のばちのような指になったりします(ばち指)、また肺胞壁の破壊が進行すると肺が膨らみ横隔膜を押し下げ、胸がビア樽のように長くなります(ビア樽状胸郭)

 また、呼吸が困難で、一生懸命呼吸しようとするので、呼吸を補助する筋肉である胸鎖乳突筋(耳の下から伸びる首にある太い筋肉)が太くなってしまいます。

 上述の様々な障害により、嚥下の機能が落ちてしまいます。(嚥下障害)そもそも、酸素がうまく送れていないので、低栄養状態な上に嚥下(飲み下す)も機能が低下してしまっては、そりゃ、痩せます。活動も低下してしまえば、当然筋力も落ちてしまい、最後は寝たきりに近い状態までになってしまいます。