心筋梗塞 乳頭筋断裂

 乳頭筋断裂【心臓の心室にあり心筋から弁までつなぐ筋肉で、弁の開け閉めに関与している. それが切れた状態】

 発症数日後に生じることが多く、右冠動脈【右側(自分の右手側)へ伸びる心臓への動脈、左もある。】 (RCA) 梗塞【ふさがった状態】の下壁梗塞【右側(自分の右手側)の心臓への動脈が詰まり下の心壁(心室側)が死んでしまう】に生じることが多い。たいていは発症すると重篤な僧帽弁閉鎖不全【心臓から全身へ送り出す血管の弁が閉じない】を伴い、心不全【心臓が身体の必要とする血液を十分に送り出せない状態。】の原因となる。治療として CABG【心臓への血管のバイパス(迂回路)をつくる手術】 をおこなう場合は、同時に僧帽弁置換術【僧帽弁(心臓から全身へと続く血管の弁)の切除と人工弁による置換】をおこなうこともある。

 心破裂

 心筋が壊死【細胞が部分的に死ぬこと。】し、心臓の血圧に耐えられずに外壁が破裂する症状。基本的にこれが起こると即死となる場合が多く、助かることは難しい。 因みに右心室【心臓右側(自分の右手側)下部の腔所(空間)。右心房から受けた静脈血(二酸化炭素が多い血液)をその心臓の筋肉の収縮により肺へつながる動脈に送る。】と左心室【心臓左側(自分の左手側)下部の腔所(空間)。全身へ血液を送る】の間に穴が開くことを心室【心臓の下半部を占め、血液を送り出す部分。左心室は全身へ、右心室は肺へ血液を送る】中という。

 心室瘤【心臓の血管が詰まり心臓の筋肉が死んだが、心筋がまだ柔らかく、心臓の内側よりなる圧力によって瘤〔こぶ〕状に押し広げられた状態】

 心室瘤【心臓の血管が詰まり心臓の筋肉が死んだが、心筋がまだ柔らかく、心臓の内側よりなる圧力によって瘤〔こぶ〕状に押し広げられた状態】は、左冠動脈【心臓への血管は左右に分かれている。そのうちの左】前下降枝【心臓への動脈は左右に別れ、左は下と左側へ回るのにさらに別れている。】 (LAD) 梗塞【ふさがった状態】の結果として心尖部に生じることが多い。心筋梗塞治療【心臓の血管が詰まった状態への治療】後も遷延する ST上昇【心臓への血管が詰まるとみられる。障害電流なるものが関係する。】の原因の一つである。破裂しやすく、心タンポナーデ【心臓と心臓を覆う外膜の間に液体が大量に貯まる。あまり貯まると心臓が動けなくなる】の原因となる。

 心筋梗塞【心臓の血管が詰まってしまい、心臓の筋肉が腐ってしまう病気。胸に激しい痛みが起こり長時間続く】後症候群(Dressler症候群【心筋梗塞の後になる病気群】)

 発症数週間後に生じる自己免疫性心外膜炎【自分を守るはずの免疫システムが破たんし、心臓にある内膜、外膜の二つの膜のうち、外膜の炎症を起こす】。